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志を持った経営を行う

こんばんは。

今月は営業強化月間と位置づけ、北信地域を中心とした支援機関にご挨拶にお伺いしておりました。

また昨日は金融機関主催の会議にも参加させていただきました。

長野で課題になっているのは主に人手不足だそうです。

私は正直驚きませんでした。具体的な理由として

・そもそも地元にいて食べていけるのか?

・長野の企業が求めているのは人財でも人材でもなく人足を求めているのではないか?

・新卒採用を重視しすぎ、経験者を見落としているのではないか?

デフレが長く続き、コストカットこそが最善とみなされてきたことにより、長野の給与水準は決して高くないですし、長野市を出ればそもそもとして働ける場所があるのか?というのが往々にして感じられました。

 

プロジェクトでいうとQCD(品質・コスト・納期)の内、納期とコストが最優先になりがちで品質が追い付いていない感じがします。なぜか?コストを下げながら品質を維持するというのは至難の業です。

どこかで必ず歪みが出てきます。例えば人件費を削れば当然離職者が出てきます。離職者はただ単にコストだけではありません。その会社で得た知識や経験、つまり金額では換算できないものが流出してしまうのです。

それを新卒でカバーできるかといえば結論から申し上げますと難しいです。

 

知識や経験は社内での教育、現場で積み重ねた経験、その人自身が培った知識があります。

特に社内の教育というのは時間や給料といったコストの積み重ねです。

それが流出するという事は大きな損失となります。技術の継承などが困難になりますし特に氷河期世代と言われる世代がすっぽりと抜けている場合は社内が高齢化しすぎているか、あるいは年齢差が激しすぎるためカルチャーギャップが起きやすくなります。

 

我々ITコーディネータはあえて人財という言葉を使います。その根底には従業員は会社にとって単なる費用ではなく資産(財産)と捉えているからです。ただ資産を活かすには志(目的、指針、考え方など)がないと活かすことはできません。例えば短期の利益中心の考え方であれば無理が起きやすくなります。

本来のトヨタ生産方式の考え方は如何に無理をなくすことで無駄やムラをなくし、生産性を高めるかというのが根底にあります。ところが何がきっかけかわかりかねますが、コスト削減だけが強調され、トヨタ生産方式の本来の考え方が疎かになってしまいました。

 

人を雇うというのはそれに伴いコストが発生しますがその発生するコスト以上の成果を如何に出せるか、それは経営者の資質に関わってきます。短期の目標も見つつ、長期的な企業の存在価値も忘れない、これが最重要なことです。あるスポーツ選手が述べていた言葉ですが選手に対して強制や矯正ではなく共生を、指示ではなく支持をすることこそが指導者に求められていると仰っておりました。

 

よく日本型経営は良くないといわれますが、かつては近江商人が提唱した

『売り手によし、買い手によし、世間によし』

つまり商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売というのが日本型経営の根底にありました。今は悪い意味でグローバル化し、海外の悪い部分だけを模倣しているように思えません。

 

私の志はこの三方よしや本来あるべきトヨタ生産方式の考えに基づいた経営を推進し、その際にITの利活用や業務改善通じて企業の成長を促すというのが根底にあります。

経営者自らが気づき、経営者が従業員の気づきを掬い上げ、経営者と従業員がともに成長する、そういう経営支援を行えればと思っております。そうすることで離職率の低下や労働分配率の向上につなげられると信じてやまないからです。また自ずと企業の提供する商品やサービスの向上につながります。そうすることで好循環が生まれる。その様な良いスパイラルを作る仕組みづくりが出来るよう、心掛けて行動しております。

 

経営者の皆様も今一度、なぜ今自分たちが存在できているのかを立ち止まって考えてみてください。きっと、今まで忙殺されて気づかなかったことが見えてくると思います。

私も迷いが生じたときは立ち止まって、なぜ創業したのかを振り返るようにしてますし、現在飯山や信濃町で行われる創業塾に参加した理由も自分のビジネスモデル等に問題ないのか再確認するためです。

ぜひ、一度立ち止まる勇気や余裕を持ってみてください。きっと新たな志が生まれると思います。